南洲残影 (文春文庫) [歴史(日本史世界史)]

南洲残影 (文春文庫)



南洲残影 (文春文庫)
南洲残影 (文春文庫)

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優雅で感傷的な滅びの歌

しかし、どうしようもなく違和感が残る。?人間には、最初から「無謀」とわかっていても、やはりやらなければならぬことがある??浪漫派が一人で勝手に滅びるのは構わないが、三万の兵士、ましてや国民を巻添えにするなどというのは、そもそも「政治」ではない。国家の政策決定プロセスを、浪漫派的人間へと単純に擬人化するなど論外である。南洲「思想」というよりは「宗教」であり、西南「戦争」というよりは「殉教」であったのだろうか。薩軍の「士」は、官軍の「農商の兵」を侮蔑したが、「士」は滅びても「農商」は生き延びた。潔く死ぬことよりも、堕落しつつ生き延びることで、日本は焦土から再生したのだ。そして、それこそが本当の強さではないのか、ANGO?
カッコつけすぎ

日経ビジネスで、京セラの稲森さんが、西郷南洲についての傾倒ぶりを何回かにわけて書いている。会社経営と西郷の関係について知りたくなって、手にとった本。失敗であった。西郷の初心者には難しすぎる。他の本で基本的な知識を得てから読んだほうがいいと思う。また、この本、カッコつけ過ぎ。昭和20年、降伏調印のために現れた米国艦隊について、「あれだけ沈めたはずなのに、まだこんなに多くの軍艦が残っていたのかという思いと、これだけの力を相手にして、今まで日本は戦って来たのかという思いが交錯して、しばし頭が茫然とした。しかし、だから戦わなければよかったという想いはなかった。こうなることは、最初からわかっていた、だからこそ一所懸命に戦って来たのだと、そのとき小学校六年生の私は思った」なんて書いている。「これだけの力を相手にして」と思っている人間が「こうなることは、最初からわかっていた、だからこそ一所懸命に戦って来たのだ」なんていうのか?カッコつけ過ぎでうさんくさい。
自立・独立できない日本

西郷の滅びに仮託しているが、著者の様々な著書に書かれた「今」つまり戦後日本のありようが、米国の占領とその時期の検閲によって本来の日本的なものが、「軍国主義日本」という米国のプロパガンダ・徹底的な広告宣伝活動によって完膚なきまでに潰され、根無し草かつ「日米同盟」とまで言いきる一国の代表を生み出すところまでいきつくことを見通したような著作だ。
安保条約は、決して同盟ではないし、米国は日本国内に無差別爆撃を行なった国であるし、広島・長崎に必要の無い原爆を投下した国であり、当時も今も国際関係の中で認められていない「平和に対する罪」で東京裁判を行なった国であり、その責任など全く反省も無いし、いまだ正義と思っている。

倒れた西郷は、独立・自尊を目指した=大東亜戦争を戦った日本の姿そのものだと深い意味で言っているのだと私は思う。
浪漫派的

江藤淳の日本語の美しさと、西郷の最期の美しさが見事に結晶した傑作。

江藤氏が最期に到達した地点は、滅亡の賦をどう唄うか、という問題意識に尽きる。それは西郷であり、大和魂や日本文学や日本そのものの滅亡の賦である。西郷はまさに全的滅亡のために幕末を生きたような男であり、戦後の閉塞と不在を、滅びに向かって生き抜いた江藤淳の人生もそれになぞらえ得るかもしれない。

洋行帰りの合理主義者が何人も薩群に参加していた。西南戦争は決して田舎の士族と近代国家との戦いではなかったのである。
保田與重郎の西郷論とも重なって読める。桶谷秀昭の『草花の匂ふ国家』ともあわせて読むとよいだろう。
初心者には難しいかな??

この本は、西郷さん関連の知識がない人にとっては、ちょっと内容を理解するのが難しいでしょう。私自身は、西郷さん関連の本を多く読んでいたので、すんなりと入っていけましたが。

まあ、内容的には、今までの西郷さん関連の本に書かれていた事実に、江藤氏なりの考え(非常に叙事詩的)をちょっと付けただけかなー??という感じですね。やはり、司馬さんの本を先に読んじゃうと、物足りなさを感じてしまいました。

西郷さんに関しては、何故西南戦争を起こしたか?という題材で、西郷さんの心情を解きほぐす事は、後世の作家にとっては、ほとんど無理だと思います。



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